2005年07月28日

リプレイ読み比べ!

「ダブルクロス・リプレイ・オリジン 偽りの仮面」(以下DX)
「新ソード・ワールドRPGリプレイ集 名乗れ! 今こそ大英雄」(以下SW)
「ガンドッグ・リプレイ ストレイ・ドッグ」(以下GD)
〜〜を読み比べしてみた。

文体:
全作品とも、キャラクター名はゴシック体で、本文は明朝体。
名前と台詞の境をSWは「(空白)」で、DXとGDは「:」で区切っている。1ページ当たり17行設定。
要するに基本的にほぼ共通です。

作者:
DXは矢野、GDは狩岡、SWは秋田。
DXとGDは共にデザイナー自らがGMとライティングを担当。リプレイ作家としてのキャリアはオレが知る限りどちらもデビュー作っぽい。秋田はこの作品でリプレイ10巻目、かなりベテラン。

参加PL:
人数/DXが4人、SWが6人、GDが3人。
ストーリー志向のため、参加PCが多いと焦点がぼやけてしまうDXが4人なのは納得いくが、GDが3人は少ないという印象。
プレイヤー熟練度/SWとDXのPLは、社内のメンバーなのでそれなりに熟練しているハズ。DGは不明ですが、初心者はいないハズ。
加えてDXとSWは、当然PLとGMが見知った間柄。GDは不明。

ルールの難易度:
基本的なダイスしか使わないし、特段変わったルールもない。面倒な計算もなく、ゲーム中に参照するチャートも多くはない。よっていずれのシステムもPLとGMの負担は少なく、TRPGの基本を知っていれば、どれもさほど難しくはないと思う。

雑魚戦が多いSWやGDではGMの敵データの管理が少し面倒かなと思うが、最終的には、PLの人数やその面子の熟練度に依存する。

ここまでをまとめると、リプレイに対するスタートラインはどのゲームも一緒といえる。

ではなぜ、前回のエントリで、オレはガンドッグのリプレイにつまらないという評価を付けたかなんですが。
辛い点を付けざる得ない理由として、以下の3つの理由があると個人的には考えます。

(1)戦闘中心のゲームである。
(2)PL数が少なく、見知った面子ではない。
(3)作者がリプレイ本に不慣れ。

まず(1)。GDやD&Dなどに代表される戦闘中心のゲームは、NPCなんかとの会話や演技よりも戦闘を楽しむようにシステムができている。そして戦闘中はどうしてもPCレベルでの発言よりも、PLレベルでの発言が多くなる。しかもそれは”会話”ではなく、”単語”のみを発する状況になりがちである。

「2回当たり」「クリティカル!」「合計12点」「鎧無効ね」「次、外れ」「外れるの!?」「(コロコロ)」「移動して斬ります」「遮蔽あるよ」「マイナス付けても当たり!」etcetc

要するに「行動宣言→ダイスを振る→結果→一喜一憂」という戦闘行動の繰り返しに、会話は必要ではない。

無論これはこれで問題ない。戦闘中心のゲームはシナリオ中に何回もロールするし、そのたびに演技していてはいちいちまどろこしいからね。

(2)は、PLが少ないと必然PC間の掛け合いが少なくなる。(1)の理由上、NPCもシナリオ上に必須ではないため、余計に会話というものがなくなる。そうなると(1)のとき同様、機械的な処理に付随する断片的な単語のみを発するの繰り返しになりやすい。
ただし、これが見知った間柄のPL・GM同士だと、システムの是非を問わずうまい掛け合いができたりするが、GDのリプレイからはそういう気配はあまり感じられない。

またGDの場合は情報収集でも、戦闘と損たような傾向になる。つまり「金を積む」「+20%ね」「この際、ばら撒く!」……導入と結果には、多少の演技が入るかもしれないが、結局は機械的に処理するからだ。
ぶっちゃければ状況説明等を最低限の演出にし、時間短縮したほうがメインの戦闘の方に時間をかけられるわけだし。

(1)及び(2)のような理由から、GDはリプレイには不向きなゲームといえる。
テープに採ったプレイそのままを文章に起こすとあまりにもおもしろみに欠けるのだ。

だから文章に起こす際に、どういうふうに手を加えるかのセンスが問われる。
前回のエントリと内容が若干被るけど、説明文の入れ方や省略の仕方、そして会話のアレンジとかね。GDはそれが下手だと感じる。プレイをそのまま書いてる印象。これが(3)の理由。

勿論、うまいPLで、うまいPC(キャラ立ってる)のやり取りだと、そのまま書き写しても十分面白いこともあるですけどね。

はっきりいってGDリプレイのPLの会話(単語)は全般にサムい上に、キャラも立ってない。
レイジのPLあたりは立たせようとする努力(?)も見られるけど、GMも他のPLの誰も盛り上げるようなフォローに入ってないので、投げ捨てな感じで浮いてる。

ストーリーをハリウッド映画的にするならば、冷めず(照れず)にもっと徹底して面白く発言・書くべきなんだよ。そういうのがなくて、すごく生真面目にプレイを文章にしちゃってる。

リプレイを物語としてみたとき、感情移入できるかどうかは大事なんだけど、GDは全く感情移入できない。物語にも、PCにも、ましてGMの立場にもできない。
それができないというか、しづらいのは戦闘中心のGDというシステム上の問題でもあるんだけど、それ以前にPLレベルの問題であり、最終的にリプレイに仕上げる作者のセンスと実力であると結論付けることができると思う。

好きなゲームなだけに残念なんだよなあ。

細かい要求では、TRSをルールブックと同じ仕様で載せて欲しいのと、戦闘をマップ上でも示して欲しいこと。特に戦闘はなんかリプレイを読む限り抽象戦闘と同じ印象になっちゃってるので。
〜と、アンケートに書いたので、ぜひ2巻目に期待。
posted by maichi at 15:47| Comment(1) | TrackBack(0) | アナログゲーム雑考 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
なんか文字化けしてたので、修正しました。
ついでに少し加筆。
Posted by maichi at 2005年08月01日 20:40
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