ところで3人なのでPLは2人です。遊ぶゲームも限られます。普通シナリオを作るときは4人想定で作るしね。結局、オレがGMでFローズをいわゆるアドリブでやることになり、勢いでゲーム開始。
Fローズ初体験のHさん中心に、キャラメイク(経験表とか)を絡めた設定でシナリオを始めたわけですが、どうもやりづらそうな印象。設定的に傭兵上がりの敗残兵。鬼族と結婚し、今は魔国デュラの鉱山奴隷の頭を勤めるという、なかなか立ってるキャラ(笑)。しかしどうもその”設定”に引きずられぎみ。
もちろんシナリオ的には、そんな過去にとらわれる必要はまったくないのですが(むしろその暗い過去を乗り越える展開を設定したつもり)、そこに「キャラクターの背景が設定されるゲームにおける演技重視派のジレンマ」がある。
一般的にD&DやSWなどオーソドックスなファンタジーRPGには、キャラの背景がシステム上では設定されない。せいぜい種族とクラス(職業)程度だ。あとはPLの自由設定といえる。
そして90年代以降のWoDシリーズなどのTRPG、また最近のFEAR製RPGなどにおいては、ライフパスなどキャラの背景設定がシステムで明記され、ゲーム開始時にある程度生い立ちや性格などが決められてしまう。
キャラのバックボーンが前もって設定されるからとはいえ、何かを強制されるわけではないのが重要な点である。あくまで個性の位置付けでありストーリー指向をフォローする一要素でしかない。
しかし一部のロールプレイヤーはその設定を強烈に重視する。種族や職業、ライフパスを個性として結び付けて、確固たるキャラクターを設定し、それに準じた演技をしないと(ロールプレイング)ゲームをした気にならないというわけだ。そこに”キャラクターの縛り”が発生する。
「○○として、そういう行動はできない」「性格からして、あり得ない」というような詰んだ状況がシナリオで発生してしまうわけだ。設定した性格に呪縛され、自由が利かないというジレンマだ。本末転倒である。
そういった事故を避けるためにFEARゲーはハンドアウトを採用し、最低限のストーリーラインを確保しているが、それでも設定とその演技に凝りすぎる(ロールプレイをする)と「ちょっと(その行動をするには)無理があるのでは?」とセルフツッコミを入れるような状況がままある(笑)。
今回のFローズでは、敗残兵で奴隷頭という負け組な設定がもれなく付いてきた。その設定にとらわれると、異常に自由度が低くなるのは目に見えている(笑)。はっきりいえばGM側の誘導も裏目に出てしまうほどである。
シナリオの展開とキャラ設定との溝、演技のふり幅をプレイ中に自在に変えられれば問題ないが、設定と演技重視の人はそのふり幅を頑なに決めてしまっている。予定調和と前もってそのふり幅に合わせた展開のシナリオであれば問題ないが、そういった限定的なシナリオは稀である。
とまあ、今回は久しぶりにそのジレンマに直面し、GMとしても苦悩したわけだ。もちろん解決方法は分かっている。PLのロールプレイに幅を持たせるか、ハンドアウトで初期動機と導入を決め付けてしまうか、のどちらかである。
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